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仮面城(日文版)-第4章

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「な、な、なんだって? それじゃまたダイヤのキングが……」
「おう、おう、おう……」
「よし、案内しろ」
 老人はよろめく足をふみしめながら、牛丸青年のあとからついていく。文彦はちょっとためらっていたが、思いきってあとからついていった。
 洋館のうしろはしばふの庭になっていて、そのしばふの中央に太いスギの古木がそびえている。そのスギの木のそばに、香代子がまっさおになって立っていた。
 牛丸青年にみちびかれるままに、老人はよろよろと、スギの木のそばへ近づいていったが一目その幹を見ると、アッと叫んで立ちすくんでしまった。
 スギの幹のちょうど目の高さあたりに、みょうなものが五寸くぎで、グサリと突きさしてあるのである。それはトランプのダイヤのキングだった。

     黄金の小箱

「アッ、こ、これはいけない!」
 ヘビにみこまれたカエルのように、しばらく、身動きもせずに、あのあやしいダイヤのキングを見つめていた老紳士は、とつぜん、そう叫んでとびあがった。そして、そのひょうしに文彦のすがたを見つけると、
「アッ、文彦くん、きみもここへきていたのか。いけない、いけない。きみはこんなところへきちゃいけないのだ!」
 そう叫んで文彦の手をとると、
「さあ、いこう、むこうへいこう、香代子。牛丸。おまえたちも気をつけて……」
 文彦の手をとった老紳士は、逃げるように勝手口からなかへはいると、さっきのへやへ帰ってきた。そして、そこで文彦の手をはなすと、まるでおり[#「おり」に傍点]のなかのライオンみたいに、ソワソワとへやのなかを步きまわりながら、しどろもどろのことばつきで、
「文彦くん、もういけない。きょうはゆっくり、きみにごはんでも食べていってもらおうと思っていたのだが、そういうわけにはいかなくなった。きみ、すまないが帰ってくれたまえ。そして、二度とこの家へ近寄らぬように……そのうちにわしのほうからたずねていく。さあ、早く、……早く帰って……いや、ちょっと待ってくれたまえ」
 そこまでいうと老紳士は、風のようにへやのなかからとびだしていった。
 文彦はあっけにとられて、キツネにつままれたような気持ちだった。いったい、くぎづけにされたあのダイヤのキングには、どういう意味があるのだろう。そしてまた、この家のひとたちは、いったいどういう人間なのだろうか。
 あの老紳士にしても、香代子という少女にしても、また、口のきけない牛丸にしても、けっして悪いひとたちとは思えない。しかし、なんとなく気味が悪いのだ。あのふしぎな老婆といい、地底からひびくみょうな音といい、この家をつつむ空気のうちには、なにかしらただならぬものが感じられるのだ。
 文彦はぼんやりと、そんなことを考えていたが、そのときまたもや、だれかにジッと見つめられているような気が強くした。文彦はハッとしてへやのなかを見まわしたが、そのとき強く目をひいたのは、あの西洋のよろいである。
 ああ、やっぱりあのよろいのなかには、だれかいるのではあるまいか。そしてかぶとの下から、じぶんを見つめているのではないだろうか……。
 文彦はなんともいえぬ恐ろしさを感じたが、それと同時に、どうしてもそれをたしかめずにはいられない、強い好奇心にかられた。文彦はソッとよろいに近づいていった。ああ、たしかにだれかがかくれているのだ。かすかな息づかいの音……。
 だが、文彦がいま一步でよろいに手がふれるところまできたとき、あわただしい足音とともに、帰ってきたのは老紳士だった。
「ああ、文彦くん、そんなところでなにをしているのだ。さあ、これを持ってお帰り。日が暮れるとあぶない。早くこれを持って……」
 見ると老人の手のひらには、金色の小箱がのっている。
「おじさん、これはなんですか?」
「なんでもいい。おかあさんにあげるおみやげだ。もし、きみのおとうさんやおかあさんがお困りになるようなことがあったら、この箱をあけてみたまえ。なにかと役に立つだろう」
 老人はそういうと、むりやりに黄金の小箱を、文彦のポケットに押しこみ、
「さあ、早くお帰り、そして、もう二度とここへくるんじゃありませんぞ。そのうちに、きっとわしのほうからたずねていく……」
 老人はそういって、押しだすように玄関から、文彦をおくりだすと、バタンとドアをしめてしまった。
 文彦はいよいよキツネにつままれた気持ちである。それと同時になんともいえない気味悪さをおぼえた。文彦はワッと叫んでかけだしたいのを一生けんめいこらえて、その家の門を出ると、足を早めて、さっきのやぶかげの小川のほとりまできたが、そのときうしろから、だれやらかけつけてくる足音……。

     三つの約束

 文彦はギョッとして立ちどまったが、追ってきたのはべつにあやしい者ではなく、大野老人のお嬢さんの香代子だった。
「文彦さん」
 香代子はほおをまっかにして、ハ烯‘息をはずませながら近づいてくると、
「あなたずいぶん足が早いのね。あたし一生けんめいに走ってきたのよ」
「はあ、なにかぼくにご用ですか?」
「ええ、うっかりして、その箱のあけかたを、教えるのを忘れたから、それをいってこいとおとうさまにいいつけられて……」
「ああ、そうですか」
 文彦はなにげなく、ポケットから黄金の小箱をとりだそうとすると、
「シッ、だしちゃだめ!」
 香代子はすばやくあたりを見まわして、
「文彦さん、あなたお約束をしてちょうだい。三つのお約束をしてちょうだい」
「三つの約束って……?」
「まず第一に、おうちへ帰るまで、ぜったいにその箱を、だしてながめたりしないこと。第二に、ほんとに困ったときとか、いよいよのときでないとその箱をあけないこと。第三に、なかからなにが出てきても、けっしてひとにしゃべらないこと。……わかって?」
「わかりました」
「このお約束、守ってくださる?」
「守れると思います。いや、きっと守ります」
「そう、それじゃ指切りしましょう」
 にっこり笑って、香代子はゲンマンをしたが、すぐまた、さびしそうな顔をして、
「文彦さん、あなたにお目にかかれて、こんなうれしいことはないわ。でも……またすぐにお別れしなければならないんじゃないかと思うのよ」
「どうしてですか?」
 文彦はびっくりして聞きかえした。
「ダイヤのキングよ。ダイヤのキングがスギの幹に、くぎざしになっていたでしょう。ダイヤのキングが、あたしたちの身のまわりにあらわれると、いつもあたしたちは逃げるように、お引っ越しをするの。
 いままでに五ヘンも、そんなことがあったわ。こんどは二年ばかりそんなことがなかったので、やっとおちつけるかと思ったのに……」
「香代子さん、それじゃだれかが、きみたちの家をねらっているというの?」
 そのとき、フッと文彦の頭にうかんだのは、あの気味の悪い老婆だった。それからもう一つ、あの客間にあるよろいのこと。
「アッそうだ。香代子さん、きみんちの客間にあるよろいね。あのなかにはだれかひとがはいっているの?」
「な、な、なんですって?」
 香代子はびっくりして目をまるくした。
「文彦さん、そ、それ、なんのこと? よろいのなかにひとがいるって?」
「いや、いや、ひょっとすると、これはぼくの思いちがいかも知れないんだ。しかし、ぼくにはどうしても、あのよろいのなかにひとがいるような気がしてならなかったんだ。息づかいの音がするような気がしてならなかったんだ。
 それをおじさんにいおうとしたんだが、おじさんがむりやりに、ぼくを外へ押しだすものだから……」
 大きく見張った香代子の目には、みるみる恐怖の色がいっぱいひろがってきた。しばらく香代子は、石になったように立ちすくんでいたが、とつぜん、口のうちでなにやら叫ぶとクルリとむきなおって、
「さようなら、文彦さん、あたし、こうしちゃいられないわ。いいえ、あなたはきちゃだめ。あなたは早くおうちへ帰って……。
 箱をあけるのは、8.1.3よ」
 香代子はまるで猛獣におそわれたウサギのように、やぶかげの小道を走り去っていった。
 文彦はいよいよますます、キツネにつままれたような気持ちがした。考えてみると、きょう一日のできごとが、まるで夢のようにしか思えないのだ。
 文彦はよっぽど香代子のあとを追って、もう一度あの家へひきかえしてみようかと思ったが、気がつくと、あたりはすでにほの暗くなっていた。
 いまからひきかえしたりしたら、すっかり日が暮れてしまうことだろう。
 それにきちゃいけないという香代子のことばもあるので、やめてそのままうちへ帰ってきたが、
「ただいま」
 と、|格《こう》|子《し》をあけるなり、奥からころがるように出てきたのはおかあさんだった。
「ああ、文彦よく帰ってきたわね。おかあさん
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